セメント瓦とモニエル瓦、塗り替えを必要とする瓦の最適なメンテナンス方法

【台風21号で被災された方の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます】
  台風21号が西日本に甚大な被害を与え日本列島を通過しました。
関西地方を中心に各地で記録的な暴風による停電被害、事故、交通の乱れ、住まいの破壊など大きな混乱が生じ、現在でもその爪痕が残った状態となっております。台風による被害を受けた方、受けたかも知れない方は街の屋根やさんにご相談ください。点検はもちろん可能な限り応急処置にもその場で対応いたします。
現在大変多くのお客様よりお問合せを頂いており、順番に対応をさせていたただいております。
皆さまにはご理解を賜りますようお願い申し上げます。

セメント瓦、モニエル瓦の最適なメンテナンス方法をご紹介
 屋根材というと現在でも瓦というイメージが強いのか、どんな屋根材でも瓦と呼ばれがちです。スレート(カラーベスト・コロニアル)はスレート瓦と呼ばれますし、成型金属屋根材も金属瓦と呼ばれます。小さなピースを幾重にも並べて屋根を形成する屋根材の場合、そのような傾向が高いようです(トタンはトタン瓦と呼ばれない)。
 本章では粘土瓦とそれに非常に形状が似たセメント瓦とモニエル瓦のメンテナンスについてご紹介します。

塗り替えが必要となるのがセメント瓦とモニエル瓦

 瓦というとほとんどの方は表面に艶がなく黒っぽいいぶし瓦、または表面がガラス質で艶々している釉薬瓦を思い浮かべるのではないでしょうか。これらは粘土瓦と呼ばれ、その名の通り、粘土を成型して焼き上げたものです。前述のいぶし瓦、釉薬瓦の他、表面処理をせず、そのまま焼き上げた素焼き瓦があります。

 粘土瓦以外にも瓦と呼ばれる屋根材があります。セメントやコンクリートを成型し、着色した瓦です。セメントやコンクリートと同じ素材から作られているため、どちらかというと瓦よりも同じ素材のスレート(カラーベスト・コロニアル)に近い性質を持っています。つまり、塗装が必要なのです。
粘土を成形して焼き上げた粘土瓦

セメントやコンクリートを成形し着色したセメント瓦やモニエル瓦
様々な瓦の種類と見分け方はこちら


粘土瓦とセメント瓦・モニエル瓦のメンテナンスの違い

 セメント瓦とモニエル瓦はスレートと同じ性質を持っていますから、同じようなメンテナンス方法が必要になってきます。つまり、メンテナンスとして塗装が必要になってきます。また、形状や屋根への設置方法が瓦とほぼ同じですから、こちらのメンテナンスも必要になってきます。粘土瓦、セメント瓦・モニエル瓦のメンテナンスの知識をまとめてみました。
漆喰の補修
 粘土瓦は塗る必要がありません。現在では塗料の性能も上がったため、塗ろうと思えば塗れるのですが一度、塗装してしまうと定期的に塗装しなくては美観が保てなくなるため、手間がかかるようになります。基本的にメンテナンスは漆喰の補修、漆喰詰め直しと棟の取り直しになります。
 粘土瓦の耐用年数は50年とも100年とも言われ、1400年以上前の瓦が使われている建物もあります。瓦の寿命が尽きる前に防水紙の耐用年数を迎えてしまうため、それを交換するために屋根の葺き直しをすることもあります。
セメント瓦の漆喰補修
 セメント瓦とモニエル瓦は定期的に屋根塗装が必要です。
 また、工法にもよりますが漆喰の補修、漆喰詰め直しと棟の取り直しも必要になってきます。粘土瓦の屋根と較べると、屋根塗装の分だけ手間がかかると言えるでしょう。
 また、モニエル瓦は普通に塗装してしまうと、塗膜が剥がれる可能性が非常に高く、専門的な知識が要求される瓦です。モニエル瓦の屋根塗装は必ず専門店にご依頼ください。
モニエル瓦の塗装

セメント瓦やモニエル瓦は塗装によるメンテナンスが必要

粘土瓦とセメント瓦とモニエル瓦の見分け方

 貴方のお家の瓦は粘土瓦でしょうか。それともセメント瓦やモニエル瓦でしょうか。まずはその見分け方を覚えましょう。粘土瓦にも、セメント瓦にも、モニエル瓦にも、それぞれ特徴があり、それを覚えておけば見分けるのは容易です。
粘土瓦の端部分
 瓦の端の部分が丸いという特徴があります。また、1枚の大きさがセメント瓦とモニエル瓦よりも一回り小さいので見分けるのは容易です。
 粘土瓦は塗装されているわけではないので色褪せないからそこで判断するという方もいますが、いぶし瓦は経年で黒からグレーへと変化し行きます。
 また、粘土瓦は汚れにくい・苔が生えづらいという方もいますが、それは釉薬瓦に限った話です。素焼き瓦は他の粘土瓦よりも表面がざらざらしているので汚れやすく、苔が生えやすいのです。
セメント瓦の端部分
 セメント瓦とモニエル瓦はよく似ており、デザインも複数あるので見分けづらいのですが、小口(瓦の上端と下端)の部分に違いがあります。

 小口がすっきりしていれば、セメント瓦です。凸凹していれば、モニエル瓦です。屋根専門業者のほとんどがはここで見て、どちらかを判断しています。
セメント瓦の端部分
 乾式洋瓦と呼ばれることからも分かるようにほとんどがF形(Frenchの略で平らな瓦、フランスから伝わってきた瓦が平らだったのが呼称の理由)やS形(Spanishの略で湾曲が大きな瓦、洋瓦でよく見られる形状のもの)ですが、J形(Japaneseの略で湾曲がなだらかな瓦、街中で一番見かける形状のもの)も存在します。
 瓦の形状にこだわらず、セメント瓦と同じように小口で判断して下さい。小口が凸凹していれば、モニエル瓦で、すっきりしていれば、セメント瓦です。


セメント瓦とモニエル瓦のメンテナンス方法
 セメント瓦も、モニエルも、定期的なメンテナンスとして屋根塗装が必要です。セメントも、コンクリートも、防水性はありません。塗膜が薄くなってくれば雨水が瓦自体に染み込むようになりますので、悪影響がおこります。水が浸透していくとセメントの成分であるカルシウムが流出していくので、エフロレッセンス(白華現象)や表面のざらつきが起こります。もともとの成分が流出しいるのですから、強度もそれだけ落ちていき、軽い衝撃で割れてしまうこともあります。
 屋根塗装の他、棟などには漆喰が使われているので、漆喰の詰め直しや棟の取り直しも必要です。
塗膜が薄くなり水の染み込みが心配されるモニエル瓦
白華現象(エフロレッセンス)が起こったセメント瓦
割れたセメント瓦

棟瓦がズレたセメント瓦屋根

セメント瓦の塗装
1.まずは高圧洗浄を充分に行います。

2.その後、下地がざらざらしているようならフィラー、ざらざらしていないようならシーラーと状態によって下塗り材を変えて、下塗りを行います。フィラーを塗布してもざらつきが収まらないようであれば、重ね塗りを行います。

3.その後、中塗りと上塗り、仕上げの2回塗りを行います。
セメント瓦の塗装工程


 スラリー層という特殊な着色層があり、これが塗装を難しくしています。簡単にいうとモニエル瓦には表面にスラリー層があり、これを取り除かず塗装を行うと簡単に塗膜が剥がれてしまうのです。この問題を解決するには
●スラリー層を取り除くために入念な高圧洗浄を行う
●もしくはスラリー層を強化するためにスラリー強化プライマーを使う
という2つの方法があります。街の屋根やさんではスラリー強化プライマーを使用することをお勧めしています。
モニエル瓦のスラリー層

スラリー層がむき出しのモニエル瓦
モニエル瓦の塗装
1.高圧洗浄を充分に行った後、

2.スラリー強化プライマーで下塗りを行い、ガムテープでスラリー層の粘着テストを行います。

3.スラリー層がテープに着いてこないようなら、中塗りと上塗りに入ります。
 スラリー層が剥がれてしまったら、再度、スラリー強化プライマーを塗布し、粘着テストに合格してから中塗りと上塗りを行います。
モニエル瓦の塗装工程


モニエル瓦漆喰詰め直し
 セメント瓦屋根やモニエル瓦屋根にも漆喰が使われており、それが剥がれてきた場合には漆喰詰め直しを行わなければなりません。

1.セメント瓦やモニエル瓦だからといって特殊なことはなく、普通の瓦屋根と同じように漆喰を剥がして、詰め直します。

2.セメント瓦屋根やモニエル瓦屋根は漆喰の他、釘も併用して固定されています。釘が浮いている場合は打ち込みます。
セメント瓦・モニエル瓦の漆喰詰め直し工程
漆喰詰め直し工事の詳細についてはこちら


セメント瓦の棟取り直し
ハイロールによる軽量化
 現在では漆喰を除去してハイロールを使った棟瓦取り直しが一般的になりつつあります。漆喰に較べるとハイロールはかなり軽量で、40mの棟瓦に使用すると約650kg屋根の軽量化が可能です。耐震性が向上へ大きく寄与するだけでなく、棟瓦のずれや崩れに対しても強くなり、耐用年数も長くなるのでお勧めです。
棟瓦取り直し工事の詳細はこちら


お客様とのQ&A

セメント瓦やモニエル瓦にアスベストは使われているの?

2004年以前に製造されたセメント瓦にはアスベストを含み、モニエル瓦には一切使用されていません。

セメント瓦とモニエル瓦
 セメント瓦やモニエル瓦は主原料がセメントで、その屋根材としての性質もスレート(カラーベスト・コロニアル)に近いと言われています。

 スレートと同様に2004年以前に製造されたセメント瓦にはアスベストが使われていました。使われていたアスベストは非飛散性のレベル3のものであり、破壊しない限り、アスベストが飛散することはありません。廃棄や処理に関しても特別管理産業廃棄物にあたらず、石綿含有産業廃棄物(非飛散性アスベスト)として処理されます。
 モニエル瓦はアスベスト規制が日本よりも早く進められた海外の会社が製造したものです。したがって、どの年代のものであってもアスベストが含まれていることはありません。
瓦屋根のチェックポイントとメンテナンス方法はこちら
アスベスト含有屋根材の見分け方と最適な解決方法はこちら


セメント瓦とモニエル瓦の現状

 一時期は市場に受け入れられたセメント瓦とモニエル瓦ですが、メンテナンスとして漆喰詰め直しや棟取り直しだけではなく、屋根塗装も必要ということで徐々に人気は下降し、現在では製造・販売を行っているところも少なくなりました。セメント瓦については製造・販売を行っているところはありますが、モニエル瓦に至っては日本市場から完全に撤退し、極めて手に入りにくい状態です。
セメント瓦

モニエル瓦
 モニエル瓦は外資系の日本モニエル(株)が製造・販売を行っていましたが、2010年に日本市場から完全に撤退してしまいました。この時、在庫は豊富に残されていたらしいのですが、ある出来事をきっかけにほぼゼロになってしまいました。2011年3月に起こった東日本大震災です。倉庫に保管されていたモニエル瓦は地震によって崩れたり、落下してしまい、ほぼ全部が割れてしまったそうです。そのため、新品では手に入りにくく、中古でもかなり希少な製品です。

今後を考えた場合、屋根葺き替えという選択も

割れたモニエル瓦
 2018年現在、割れたり、欠けたりしたモニエル瓦を交換することは非常に難しい状態です。端が一部、欠けた程度なら接着剤で補修することも可能ですが、何枚か割れてしまった場合は対応できない状態です。将来のことを考えたら、思い切って屋根を葺き替えてしまった方が安心できるのではないでしょうか。

 現在のお家に今後、何年住むかを考えて、最良の選択をしてください。
屋根の葺き替えという選択肢も!
 お家の屋根材がセメント瓦という方も考え時です。2004年以前のセメント瓦にはアスベストが含有されています。前述の通り、そのまま住んでいる限りはアスベストは飛散しませんので安全です。

 問題はアスベストの処分費用は年々、高くなっています。この先、屋根葺き替えを考えているのであれば、早目のタイミングで葺き替えてしまうことも賢い選択と言えるでしょう。
屋根葺き替えについて詳しくはこちら

セメント瓦とモニエル瓦、最適なメンテナンス方法のまとめ

●粘土瓦と違い、セメント瓦とモニエル瓦は塗り替えのメンテナンスが必要です。

●外観が非常に似ているセメント瓦とモニエル瓦ですが、小口(瓦の上端や下端)で見分けることが可能です。小口がすっきりしていればセメント瓦、ゴツゴツしていればモニエル瓦です。

●外観が非常に似ているセメント瓦とモニエル瓦ですが、屋根塗装の仕方は大きく違います。しっかりと見分けることができて、それぞれの塗装の仕方を知っている業者に頼みましょう。

●セメント瓦とモニエル瓦にぱ漆喰の詰め直しと棟の取り直しといったメンテナンスも必要です。

●セメント瓦とモニエル瓦の多くは製造中止となっています。特にモニエル瓦は在庫がなく、非常に手に入りにくい状態です。

●在庫不足などで今後はどんどんメンテナンスしにくくなっていきます。そのお家に何年も住むのであれば、屋根葺き替えなども検討した方がいいでしょう。